Gravity and Grace / 2025
作品タイトルである《Gravity and Grace》は、フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』に由来する。 ヴェイユは、私たちは重力によって縛られながらも、空白や真空を受け容れることで、恩寵を得ることができると説いた。
壺には、動植物の文様や、世界各地の文明・歴史を象徴する図像など、人類が地球上で積み上げてきた膨大な時間が刻まれている。 重力によって刻まれた歴史が、光と影によって空間に再生される時、そこに現れるものは何なのか。壺に込められた記憶が、私たちの内なる空間に響くとき、未来へと解き放たれるものは何なのか。
本展示では、二つの壺を入り口の左右に配置することで、始まりと終わりのゲートをつくりだした。それは通過の場であり、時を超えて流れる歴史の境界でもある。新しいものと古いものが入り混ざり、変化していく銀座のこの場所で、パンドラの壺からは何が解き放たれ、壺の中には何が残るのかみてみたいと思う。
会場:ZARA銀座店
年:2025年
素材:ステンレススチールにウレタン塗装、バラストレスランプ、その他
サイズ: φ 140 × 300 (cm) ×2個