Portfolio

絶・景 /2009

大巻は2007年に韓国で行ったワークショップを契機として「ゴミとはなにか」という問いに対する人々の意識に関心を抱き、作品は制作した。同年には、中国でも同様なテーマでワークショップと展覧会を開催した。2008年、大巻は東京におけるゴミのリサーチプロジェクトを東京ワンダーサイト(TWS)と協働で開始した。ゴミをめぐるさまざまな場所を訪れることで普段目にすることのない現実に触れ、専門家から若手アーティストまでさまざまな人々との対話を行った。そして2009年8月、約1年のリサーチプロジェクトの集大成として、TWS渋谷にすべて新作からなるインスタレーションを発表。展示には生活ゴミが燃やされた後に生成されるスラグを使用し《真空のゆらぎ》《言葉の無い預言者》《罪の無い破壊者》という3つの景色を作り出した。アートによって環境に対しての新しいアプローチを提示し、私たちの意識への問いかけを行うことを試みた展覧会である。

『絶景とはすばらしい景色のことです。しかしこの展示では、絶なる景を生み出しています。
「絶」という字は、糸と刀からなり、糸を刀で切る意を表します。
その意味は、断ち切る、中断する、とどめる、こばむ、たやす、ほろぼす、きわめる、かけはなれる、わたる、よこぎる、などであり私たちが置かれた状況の多くを示しています。
また、「景」という字は、区切られた強い光、転じて光によってできる「かげ」の意を表し、ひかりとともにかげという両義性を持っています。
無の対立を超えた絶対無、陰と陽とが互いに相手を飲み込もうとする太極/無極という東洋の思想と場の量子論を背景に「真空のゆらぎ」「言葉の無い予言」「罪の無い破壊者」の3つの景をつくりだしました。
すべてのゴミを燃やして人工的に生成されたスラグによる時の大きな流れと、私たちが気付かずに作り出している地平は、身に迫る詩的体験をもたらします。』


展覧会:環境展「絶・景−真空のゆらぎ」
会場:トーキョーワンダーサイト渋谷/東京
年:2009
文:トーキョーワンダーサイト

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